だけど、



「彼女の名前、」


そう言った裕斗に意識が傾けられる


彼女の名前



毎朝見ていたせいか、少しだけ気になっていた



校舎の屋根によって見えなくなってしまった彼女を、これ以上追いかけることができるはずもなく、裕斗へと視線を向ける



そして、ニヤリと持ち上げられた口角のまま、裕斗は口を開く




「早瀬雪乃」