あれから特に瑠美と話すことも、会うこともなく、別れたことを思い出すことも少なくなってきた今日この頃
「あ、」
今日も見つけたのはあの女
俺が声を出したのとほぼ同時に裕斗が窓の外へと目をやった
そして彼もまた気づいたように口を開く
「遅刻少女だ」
今は朝のホームルームが始まる2、3分前
毎朝この時間を走ってくる女子がいる
それは時によってホームルームが始まってから見る時もあるし、ホームルームの15分前に友達らしき人と登校してくることもある
だからといって言葉を交わしたこともなければ、彼女は俺に毎朝見られていることにも気づいていないだろう