少しでも元気になってくれてよかった……。


「瑞稀の事故があってから、俺は抜け殻みたいになってた……そんなとき」


杉崎君はどこか吹っ切れたように話し始めた。



「高校に入って……瑞稀と似ている、実音ちゃんを見つけた……」



「そうだったんだ……」


瑞稀さんが亡くなってから……きっと、色々なものを抱えて生きてきたんだろう。


そう思うと、胸が痛む。



てか………私が瑞稀さんと似ているから…"好き"って言ったってこと?


本当に好きなのは……瑞稀さん?


そんな疑問が浮上する。



「最初は……実音ちゃんが瑞稀と似ているから……無意識に近づいたんだ……でも今は違う。」



「え?」


「今は……瑞稀じゃなくて実音ちゃん自身が好きなんだ。」


「杉崎君………っ」



私は嬉しくて思わず杉崎君を抱きしめた。


「実音ちゃん……俺は実音ちゃんのおかげで瑞稀をもう、過去のこととして受け止められるようになったのかもしれない」


私は泣きながら頷いた。


「俺は……本当に実音ちゃんが好き。」


そう言って杉崎君は私を抱きしめ返した。