「なら……もっと寄越せ」


そんなことを、無表情なのか真顔なのか、どちらかわからない顔で眞柴くんが言うもんだから、大慌てでその袋を机の中に元通りしまった。



「冗談」

そう言って、眞柴くんはニッと、微かな笑みを一瞬だけ見せた。




思えばこれが、二人の始まりだった。




席が隣同士の間ずっと、わたしたちはこんな風に心と心で会話を続けた。



言わなくてもわかってくれたし、言ってくれなくてもわかった。



でも、どうしても言葉にして伝えなくちゃいけないことが一つだけあって。



席替えを翌日に控えたその日に、わたしの方から伝えた。




それは英語の授業中。


ノートに書いた“I love you.”



どうしても、

色んな訳し方があるそれで伝えたかった。