(ちょっとだけ、痛い)



親指と人差し指の間に隙間を作って見せた。本当はちっとも痛くなんかなかったのだけど、でもそれじゃあルール違反だから。



わたしの机の上に返されたそれを拾って、もう一度、眞柴くんの机の上に置いてみた。



(やっぱりあげる)



そしたら、また同じように返された。



(どうして? 本当にいらないの?)



「お前のぶんが、なくなる」



ああ、その心配かぁ。



思わず笑みが零れる。


そんなわたしを見て眞柴くんはまた、不思議そうにほんの少し頭を傾けた。



机の中からのど飴を袋ごと取り出して、先生に見付からないように机の陰に隠しながら、眞柴くんに見せた。



(たくさんあるから大丈夫)