窓際に立ち、外を眺めて素知らぬふりのわたしを訝しげに見ながら、

「橋本さんって、耳も聞こえないんだっけ?」

そんな風に心無いことを言う男子もいた。



「そんな訳ないじゃん! じゃあ授業どうしてんのよ? てかさ、喋れない、耳も聞こえないじゃ、養護学校でしょ?」

答えた女子が、ひゃははと声高に笑い、その場にドッと笑いの渦が巻き起こる。



「橋本さん、アイツのことが好きなんじゃね? 大人しい子ってあーゆー不良に憧れるんだろ?」

「まっさかー!」


またその場がドッと沸く。



気にしない、気にならない。


こんなの――

眞柴くんの痛みに比べたら、全然。




毎年、最初の席替えで、出席番号順からごちゃまぜの並び順になる。


みんなが嫌厭する眞柴くんの隣になったのは――

――わたし。