今日は平和だ。



喧嘩も売られない。


お天気は気持ちいいぐらいの快晴だった。

随分と日は短くなってしまったけど、それでも今日みたいな日は、夕方になってもまだまだ明るい。



秋風がわたしたちを優しく撫でてゆく堤防を、前後に並んで黙々と歩く。



不意に足を止めた『彼』。数歩後ろでわたしも同じように立ち止まる。



『彼』の視線は堤防の麓、河川敷にある小さな公園に注がれていた。


ブランコやシーソー、滑り台があって、小学生ぐらいの男の子数人が遊んでいた。



時を忘れたみたいに動きを止めて、じいっと見詰める『彼』は、一体何を考えているんだろう。


そんなの、わたしなんかにわかる訳もなくて。全然想像もつかないけど、だけど……。



(一緒に遊ぼ?)