「私に来て欲しいって? ヒデが?」

背の小さなわたしの顔を覗き込むようにして窺い、優しい声で彼女は尋ねる。



うん、うん。

大きく二回、頷いて見せた。



「困ったわ、この日の前日、遅くまで仕事なの。こんな時間、まだ寝てるわ」

本当に困ったように眉尻を下げて彼女は言う。



ダメか……。



残念で残念で悲しくなった。



彼女のずっと後ろに、さっきと全く同じ格好の、顔を半分腕に埋めた『彼』が居る。じぃっとテレビを見詰めたまま、ピクリとも動かない。



聞いていた……よね?