屋島遼は目つきは悪いけど、明るくて話してみるとイイ奴だった。
俺は、直ぐにコイツはモテるなっと感じた。

遼はD組だったので、体育の時間が一緒で、俺たちは仲良くなっていった。

遼と大輔の小学校の頃の噂は、俺の小学校まで伝わっていた。
しょっちゅう喧嘩をして、上級生や教員たちに目を付けられ、『問題児』というレッテルが貼られていた。
でも、実際は違っていた。
大輔と会ったときも目つきは悪いけど、話していると気が合うし、いい奴だった。
それは、遼も同じだった。


そんなある日、体育が始まる前にいつものように3人で話していると、遼がいきなり「菜緒っ!!」と叫んだ。
俺と大輔は遼の声に反射され、遼が叫んだほうに顔を向けてしまった。
その向いた先に菜緒がいた。

菜緒は遼に笑顔で手を振っていた。
菜緒のクラスは次が音楽みたいで、手には音楽の教科書とリコーダーを持っていた。
菜緒は友達に「先に行ってて」と告げると、遼を見た後、こっちに目を向けた。

無意識だったのだろうか…。
菜緒は俺と目が合うと、気まずそうな顔をした。

その顔を見た瞬間、俺は目を逸らした。

大輔は気づいたけど、遼は菜緒と話すことに夢中みたいで気づいていなかった。
遼は菜緒としばらく話した後、俺たちのところへ戻ってきた。