「菜緒、席近くなるといいね。」

『うん。葵は何番だったの??』

「私は31番だった。今、菜緒が座っている席に前だよ。菜緒がそのままだったらいいのに。」

『それは、有り得ないんじゃないかなぁ…。』
 
そう話しているうちに、いつの間にかクジの順番が私になっていた。

「吉村!次だぞ!!」
 
中村先生に呼ばれて前に行ったが、黒板に書いている座席は1つしか空白がなく、中村先生は笑いながら

「吉村はここだな。」

と言って、黒板に私の名前を書いた。
 
私が引くはずだったクジは教卓の上に残されたままだった。
 
そして、中村先生はまた笑いながら

「吉村、席変わっていないなぁ。」

と言った。
 
そう、私はまたあの席になり、葵の席の後ろになった。