俺は俯いた大輔を見ながら思っていることを初めて口にした。

「わからないんだ…自分でも。」

俺の声に大輔が顔を上げ、俺と目が合った。
俺は大輔に曖昧な笑みを見せると外に目を向けた。

「どうしたいのか…。菜緒のこと嫌いになったわけではない。まだ、好きなのかもしれない。でも、また同じことを繰り返すような気がして、どうしていいのかわからない…。俺たちにとったら、精一杯なんだ…今、ここに立っていることが…。」

菜緒が俺と同じことを思っているかはわからない。
もしかしたら、違うかもしれない。
でも、なんとなく同じことを思って、動けないでいるのではないかと思った。