「おはよぉ~!!」
 
彩が手を振りながら私のほうへ自転車を漕いで来る。

『おはよっ!行こっか。』

「うん。」
 
私たちは何気ない会話をしながら学校へ向かった。

「菜緒、高校受かったんだって?おめでとう!!」

『ん?うん。ありがとう!!あとは、卒業を待つだけ。彩は推薦だっけ??』

「うん。今、発表待ち。明日、届くんだ…不安だよ…。」

『大丈夫でしょう!推薦で落ちる人いないって聞いたよ。』

「落ちるとか言わないでよ!!」

『ごめん。』

「それに、それはスポーツ推薦だよ。勉強の方はありえるんだよ…。」

『彩なら大丈夫だよ。先生のお墨付きだもん。それに、今さら言ったって無駄じゃん。もう試験は終わったんだから。それより、受かったらパァ~っと遊ぼうよ!!』

「…そうだね。うん、遊ぼう!!」

『そうそう、大倉君も推薦でしょう?スポーツ??』

「うん。違う学校だけどね。スポーツはもう結果来ているんだって。」

『他には?佐藤や近藤君…。』

「うん。試験会場にいた。あとはねぇ…乾さんや園田君、浅月君も…」
 
彩は急いで話を止めて、申し訳なさそうに私を見た。
 
そんな彩の顔を見て、私はできるだけ明るく話した。

『別に気にしてないよ。それに、そうすぐで卒業だし。』

「3年になっても一言も話してないの??」

『話したよ。連絡事項とか、そういう事は…。一言二言だけどね。同じクラスだもん話さないわけにはいかないよ。』
 
顔が引きつっている。自分でもわかっていた。
 
でも、彩は何も言わず、受験が受かったら映画に行こうよ!と言って話を変えてくれた。