『……好き』 言った言葉に一筋の涙が流れる。 そして、その場にへたり込んだ。 脳裏には、凪の言葉が過(よ)ぎる。 “思い込みは、自分の首を絞めるだけよ?” 言われた通りになったよ、凪。 あたしは以前の生活に戻るのを想像したくなかった。 毎日が賑やかで退屈しない、この日常が心地良かったんだ。 この当たり前が失われる恐怖。 本当の気持ちを全て吐き出したら、今まで築き上げたものが崩れるような気がして……。