京介はそう言いながら襖を開けた。

「ここが、俺の部屋だ。玄関からまっすぐだから、覚えやすいだろ?次は、蓮と晶の部屋だな。」

京介はまた歩き出した。しばらく歩くとさっきと同じような襖を開けた。

「ここが、二人の部屋だ。」

「綺麗…」

晶は思わず言葉を漏らした。部屋からは中庭が見えるようになっている。中庭は綺麗に手入れされていた。

「相変わらず綺麗ですね…」

「気に入ったんなら良かったよ。お前らはここで休んでろ。何かあれば、俺か庭師に言ってくれ。」

「はい。」

京介は襖を閉めた。

「次はお前の部屋だな、勇翔。」

「はい。」

二人は中庭沿いの廊下を歩いて行った。少し歩いて京介は襖を開けた。

「ここが、お前の部屋だ。」

「…うわぁ…」

その部屋もさっきの部屋と同じように太陽光がよく入る中庭沿いの部屋だった。

「何かあれば、近くの奴に言ってくれ。じゃあ、ゆっくりな。」

「あ、ありがとうございます!」

「あぁ。」

京介は襖を閉めて歩いて行った。

「…すごいな…」

勇翔は中庭に出た。朝日が降り注ぐ美しい中庭だ。少し進むと、池の鯉に餌をまいている老人に会った。老人は勇翔に気付いたのかゆっくりと振り返った。
「…おや、ご客人かな…?」

「あ、お邪魔してます!」

「はは、元気が良いな。君、名前は?」

「坂原勇翔です。」

「…君が…儂は、師紀拾蔵(じゅうぞう)だ。京介の祖父じゃよ。」
「京介さんの…」

「孫から話は聞いておるよ。京介と仲良くしてくれて、ありがとう。」

「い、いえ!?僕の方が、迷惑ばかりで…」
「はは、そう謙遜することはない。」

「は、はい…ありがとうございます。」