「…お、来たな。」

勇翔が校門前に着く頃には京介達は全員揃っていた。

「すいません!遅れちゃって…!」

「気にするな。良し、これで四人全員揃ったな。」

「私は入れてくれないの?」

その声に京介達は一斉に振り返った。目線は勇翔を見たがすぐに足元の白い生き物に移った。

「…猫…?」

勇翔は京介が怒り出すと思いケルンを抱き上げた。

「す、すいません!付いて来るって聞かなくて…やっぱり駄目だよ!」

「あら、別に大丈夫みたいよ?」

「…え…」

見ると京介は特に何も反応しなかった。

「…?何だ?」

「あ、いえ…平気なんですか?」

「何がだ?」

「だって、猫アレルギーなんじゃ…」

「あぁ、それか。確かに師紀の家系は代々猫アレルギーらしいが、俺と爺さんは平気だ。気にするな。まぁ、付いて来ちまったもんはしょうがねぇさ。行くぞ。」

「は、はい!」

四人は近くに停めてあった車に乗った。京介は助手席に座り、蓮と晶と勇翔は後ろに乗った。勇翔は膝にケルンを乗せている。

「よし、行くか。出してくれ。」

「はい。」

返事をした男性はエンジンをかけて車を発車させた。途中では晶がケルンにかまっていた。

「可愛いね、このコ。名前は?」

「ケルンだよ。」

「そっか~、ケルンちゃんか~よろしくね~ケルンちゃん。」

晶は妙にテンションが上がっている。

「…晶ちゃん、猫好きなの?」

「うん!もう、大好きだよ~!」

晶はケルンに頬擦りしている。

「う、にゃ…」

ケルンは若干苦しそうだ。

「…この猫は、なぜ人間の言葉が喋れるんですか?」

「あ、ケルンは…魔獣なんですよ。」

その一言に車内の空気が一気に冷たくなった。

「ま、魔獣…?」