確かに良く見れば尻尾が三本あった。

「でも、良く家が分かったね。」

「憲蔵に送って貰ったのよ。手紙も預かってるよ。」

ケルンは下に敷いていた紙を勇翔に渡した。勇翔は紙を広げた。

「…これを読んでいるということは、既にケルンに会ったと言うことだろう。本部ではまともな訓練が出来なかったからな。ケルンをお前の家に連れて行かせて貰った。訓練の相手をしてもらうといい。ケルンの餌は人間と同じものでいいそうだから、一緒に食べるといい。仲良くな…」

手紙にはそう書いてあった。

「…」

「よろしく。」

「…えぇっと…その…」
「?何?」

「その…明日から泊まりに行くんだけど…」
「あら、どこに?」

そう言っのは悠里だった。キッチンからエプロンとスリッパという出で立ちで居間に来たのだ。

「京介さんの家だよ。」
「あら、そうなの。じゃあ、ケルンちゃんは私とお留守番ね…」

「そうだね。ごめんね、ケルン…」

「私も行くわよ?」

「そうなんだ一緒に…」
「………」

「……は?」

「だから、私も行くわよ。」

「え、でも…」

「何よ?」

「…まぁ、いいかな。じゃあ、一緒に行こうか。」

「だから、そう言ってるでしょ。」

ケルンはどこかに行ってしまった。

「…大丈夫なの?ケルンちゃんを連れて行って…」

「まぁ、大丈夫だと思うよ?面倒は僕が見るし、餌も僕のを分ければ…」

「…あなた知らないの?」

「え?何が?」

「…師紀のお家はね、代々猫アレルギーなのよ。」

「…え…」

「なぜかは分からないけどね。大丈夫なのは憲蔵さんのお父さん…つまり、京介君のお爺さんだけなのよ。だから、多分京介君も…」
「…どうしよう…」

「うーん…あ、そうだ。それなら…」

「…?」

悠里は勇翔に耳打ちした。