神崎は背中の羽を広げた。

「往け!魔蝿達よ!」

すると羽から大量の蝿が現われた。蝿は真直ぐ悠里に向かって突っ込んだ。

「甘い!!」

悠里は眉一つ動かさず霊気のみで蝿を叩き落とした。

「く…流石ですねぇ…ならば直接相手を致しましょう…!」

神崎は手にした鉄扇で切り掛かった。

「そんなもの…!」

悠里は右手に光を集めた。光は圧縮されて弓になった。

「食らいなさい!」

悠里は弓の弦を引いた。すると光の矢が現われた。弦を離すと矢が放たれ、大量の光の矢が撃たれた。

「くっ…!?」

神崎は足を止めて矢を全て弾いた。矢は後ろに逸れて神崎の後方の地面に当たった。

「この程度ですか?貴女の力は!!」

神崎はまた鉄扇で切り掛かった。

「く…ならば!!」

悠里は弓矢を消して今度は剣を取り出した。
「はぁッ!!」

悠里はその剣で切り掛かった。二人の武器が打ち合い、激しく火花を散らした。二人はそのまま激しい打ち合いに突入した。その打ち合いは全く介入出来ない迫力があった。すると突然二人が距離を開けた。

「く…貴女の御相手はさぞや楽しいでしょうが…今回は分が悪い…退散させて戴きましょうか…」

神崎は鉄扇を広げ、風に紛れて姿を消した。悠里は気配が消えたのを感じて降霊を解いて勇翔達に向き直った。
「…ごめんね、勇翔…今まで黙ってて…でもあなたには、普通の生活を送って欲しかったの…本当に、ごめんなさい…」

「…あ、頭を上げてよ母さん…いいんだ。僕も、聞かなかったし…しょうがないよ。」

「…勇翔…」

「あの、悠里さん…でしたっけ。貴女は、一体…」

「…ここでは何ですから、応接室に行きましょう…話は、そこで致します。」

「…分かりました。」