「……しかし、空中戦艦とはなぁ……このサイズなら、母艦として運用されるのだろうが……」



「……まぁ、かなり特殊な戦艦なのは変わらないだろうけどね…」


三人はヘンリーに従ってブリッジに入った。中では何人もの兵士達がキーボードを打って戦艦の調整を行なっていた。



「こんなに大勢が……」


「一体、どんなシステムを……」



「システム・ユグドラシルさ」



「!?」



「へぇ……あれを実用化させたのかい?」



「…何ですか?その・システム・ユグドラシルって……」




「この空中戦艦、『ヨルムンガルド』は、各ブロック毎にシステムが独立していてね。勿論システム間には繋がりがあるし、完全なスタンドアローンではないが、もし被弾してリカバリーが不可能になった場合、そのブロックをパージすることが出来る。そして、各ブロックには固定武装が装備されていて、その制御も各ブロック毎のシステムが担当している。そして、そのシステム全てを管理するのが、システム・ユグドラシルだ」



「元々は、艦隊を運用する際に効率化を推し進めた結果行き着いた到達点だったけど、その中枢を担うAIがどうしても調整できずに、計画自体が頓挫したものだったんだけどねぇ……」



「そのAIの代理として、複数の人間による複数のシステムの同時管理によって、システムを維持することで、なんとか運用しているんだ……我ながら、中々無茶なことをしたと思っている」



「全くだ……高度AIの代理を複数の人間で行なうなんて……開発課が聞いたら卒倒しますよ?」



「…昔から、そっちの関係には縁が無くてね」



ヘンリーはバツが悪そうにはにかんだ。