「は、はじめまして……」



ヘンリーは、小麦色の筋肉質な体に、美しい金髪のセミロングの男だった。その紅い瞳は、静かな光を湛えて勇翔を見ている。



「……君が…俺は、ヘンリー・ラインハルトだ。よろしく、坂原勇翔君」


ヘンリーは右手を勇翔に差し出した。



「は、はい………!」


勇翔はヘンリーの好意的な態度に自然と笑みがこぼれた。そしてしっかりと差し出されたヘンリーの手を握った。



「アイザック達が来たということは…彼が俺の力を必要としているということか……」



「えぇ………一体、なんのことなんですか?その"力"というのは……?」



アイザックが聞くと、ヘンリーは少し驚いた様な顔をした。



「………また、彼は何も言わずに君達を寄越したのか……」



「…"また"…ですか……?」



「彼は昔からそうだった。自分だけが答えを見つけて、部下には一言も説明せずにに命令する……悪い癖だ」



ヘンリーはそう言ってどこかへと行ってしまった。残った三人はどこに行くでも無く、その場で佇んでいた。



「……昔って………」



「ヘンリー卿は、斗耶さんや師紀元帥と同期なんだ。紫閃大隊が結成される前から有能な軍人として活躍されていたよ」



「ヘー……」



「彼は、紫閃大隊にこそ入隊しなかったけど、その実力は統合軍航空部門の中でも最高戦力と言われていたよ。彼は、"竜公爵"とも呼ばれていたからねぇ……」



「竜…公爵……?」



「彼の家は、ヨーロッパでも名門の家柄なんだ。だから、公爵と呼ばれていたのさ」



「……そうなんですか……」



三人がそんな話をしていると、ヘンリーが戻って来た。