「……大丈夫ですか?」


「…申し訳ありません、悠里様……こんな事態を回避する為に我々が来たのですが……」


「いえ、そんな……」



その時、遠くから爆発音が聞こえた。



「!クソ…もうあんな近くに………行きましょう、悠里様!早く移動しないと……!!」



「は、はい……!!」



悠里は彼等に囲まれながら廃ビルの中を縫う様に進んで行った。やがて、開けた場所に出た。



「…しまった……!!」



男が悟ったその瞬間、周囲を人影が囲んでいた。



「……追い詰めたぞ、悠里……!!」



「…憲蔵さん……」



それは、憲蔵だった。


「……わざわざ、元帥が来るだなんて……いつから統合軍は人手不足になったのかしら?」



「お前の実力を鑑みての判断だ」



「その割りには、用心し過ぎるんじゃない?ジャッジメントの隊長二人に………」



悠里は三人を見渡した目線を横にずらした。


「……緋凰様までいらっしゃるなんて……」


「…弁明はすまい。私とて、君一人にここまでの手勢を率いて来たのは見苦しいとは思うが……」



緋凰はそこまで言って剣を悠里に向けた。



「……今はそんなことを言っている猶予は無いのでな……!!」



緋凰は悠里に切りかかった。



「………ッ!!」



だが、その剣は突然現われた男の剣に防がれた。




「……来たか、斗耶……!」



「……緋凰様…俺は今でも、貴方は尊敬に値する御方だと思っています………そんな貴方に、剣は向けたくない……」



「……なめられたものだな、私も……」



「……やはり、退いては下さいませんか……」



二人は互いに構えた。