一人の人影が、廊下を歩いている。それは、仮面の男だ。脇には仙石とクロウリーがいる。すると、急に仮面の男が立ち止まった。
「……?…どうしたんだい?」
二人が振り返ると、仮面の男は右手を見つめている。その右手からは、血が滲んでいた。
「……まさか…漆黒の茨の冠が………」
仮面の男はそう呟くと、踵を返して歩いて行った。
「……どうしたというのだ、あの男は…?」
「……うーん…彼にもいろいろあるからねぇ……ま、何があっても、彼なら一人でも平気だよ」
二人はそのまま、廊下を歩いて行った。
「テムジン、何があったのじゃ!」
長老はテムジン達が待つ部屋に戻って来た。
「……どこの勢力かは不明ですが、かなりの数の侵入者のようです。守人達が応戦しておりますが…あまり、状況は芳しくありません」
「ならば、お前も行けば良かろう」
「……しかし、それではここの守りが……」
「……私が結界を張る。余計な心配なぞ不要じゃ……!」
「……了解しました。では、お二人も……」
「…そうね…勇翔君を守らないといけないし……行きましょうか、ジョージ大佐?」
「……承りました、アイリス元帥」
三人は洞窟を出た。外では、守人達が謎の集団と戦っていた。中には、樹海でアイリス達を襲った獣達の姿もある。
「……どうやら、あれもアイザックの差し金の様ね……困った人ね、相変わらず……」
「……私は行きますが、アイリス元帥はいかがしますか?」
「……それじゃあ、ジョージ大佐の戦う姿を見させて貰いましょうか?」