「……どういうこと?………なんで、私が一人で国連のビルに行くの?」
晶は、崇史に呼び出されて、学園長室にいた。
「ちょっと、事情があってね……もう分かってると思うけど、晶は何者かに狙われているんだ…だから、学園よりも遥かに安全な統合軍の宿舎にしばらく住んで貰いたいんだ」
「………李さんに依頼したのは、お父さんなんだ………どうして、私が狙われるの?」
「………それは……」
「イヤだよ……私、狙われる様なことしてないのに……ッ!」
晶は拳を握り締めて嗚咽を漏らしている。目元にはうっすらと涙を溜めている。
「…………晶……」
「……ユウ君………」
「え……?」
「……ユウ君なら、きっと私を守ってくれるよね……?そうだよ…ユウ君なら……ねぇ、お父さん…ユウ君なら、私を守ってくれるよね……?」
「…晶………ッ!」
「ユウ君なら……ユウ君…ねぇ、お父さん…ユウ君はどこにいるの?早く…早く会わないと………」
「晶!!!!」
「……ッ!?」
ひたすらに勇翔の名を呼ぶ晶に言い知れぬ不安を感じた崇史は、晶の肩を掴んで強く揺さぶった。晶も、ハッとした様に崇史の目を見た。
「……確かに、勇翔君は護衛したいと申し出たそうだ………それはとても嬉しいし、彼がいれば心強いのも事実だ………だけどね、いつまでも彼に頼っては、いられないんだ…分かるよね、晶……?」
「……ユウ君……」
「……明日の飛行機で、移動する。その時は、勇翔君も一緒だよ。今日はもう戻って良いよ」
晶は道中誰からの挨拶にも答えずに、寮に帰った。