「………な………?」
「……お前が、富山晶か……?」
困惑する晶に、一番奥に座っていた男が声をかけた。
「そう、ですけど……」
「俺達と来て貰おう。抵抗するなら………」
男がそう言うやいなや、男達は剣や銃を手にした。
「……無理矢理にでも連れて行く…」
「………え……え……?」
晶は状況が飲み込めなかったが、危険なことは分かった。
(………逃げなきゃ………ッ!?)
だが、逃げようと振り返ると、唯一の逃げ道を晶を連れて来た男が塞いでいる。その手にも、拳銃が握られている。その銃口は当然晶に向いている。
(……ど、どうしよう………)
晶が迷っている間も、男達は囲みの輪を縮めて来る。
「……そこから動くなよ……?」
「……え…………?」
突然聞こえた声に晶が首を傾げるのと同時に、晶を光の壁が取り囲んだ。
「え、これ………?」
「な、誰だ……!?」
「こちらだ」
「!?」
男達と晶は同時に上を見上げた。
だが、その瞬間に何かが空から晶と一人の男との間に降って来た。
「……なんだ………?」
降ってきたそれが上げた土煙が晴れると、全員が息を呑んだ。
「…なん、だと……?」
「……ひ……ッ!?」
一人で立っていた男が、竹の様に縦に真っ二つに切り裂かれていたのだ。そして、男の前には、また一人の男がいた。
「……まずは、一人………次は誰だ?」
立ち上がって振り返った男は、深緑のコートを羽織った、三十代程に見えるが、その格好も相俟って、更に肩に巨大な偃月刀を担いでいるため、雰囲気は豪傑そのものといった感じだ。