「……僕が、側にいるというのは………」
「部屋の中でもか?それはあまり現実的とは言えんな」
「それに、勇翔君はいまやれっきとした国連統合軍の佐官なのじゃから、一個人の為に動くことは難しいじゃろう……」
「…そうですか……」
「………どうしたものかのぉ………」
三人は思案に耽ったが、結局その日は結論は出せなかった。
「……何か、最近おかしなことばっかり……」
晶は、校庭を歩きながら、未だに残された巨大な氷柱を横目に寮に戻るところだった。
「……ユウ君…いつ戻って来るのかなぁ………京介さんも、蓮さんもいなくなっちゃったし………皆、どうしてるのかなぁ…………」
晶は、寮の玄関を開けようとしてドアノブに手を伸ばした。
「………あ、そうだ…ハンカチ、買いに行かないと……」
晶は学園の外のコンビニに向かった……その後を、何者かが尾行しているとも気付かずに………
「……はぁ…遅くなっちゃったなぁ……何で学園の購買にハンカチ置いてくれないのかなぁ………」
晶はコンビニから、レジ袋を片手に出て来た。外はもう日が傾いている。
「……早く帰らないと、寮長さんに怒られちゃう………」
「待ちな、お嬢さん」
コンビニから出た晶を、一人の男が呼び止めた。
「はい……?」
「君のお父さんから、頼まれ事があってね……ちょっと、一緒に来てくれないかな……?」
「え………?」
晶は、男の雰囲気に危険を悟ったが、逃げる間も無く腕を掴まれてしまった。
連れて来られたのは、人気の無い路地裏だった。そこには待構える様に5、6人の男がいた。