学園長は携帯を取り出した。
「………私です、『長官殿』………えぇ……『軍神』の出動をお願いしたいのですが………いえ、身内のことで、少々………えぇ、お願いします……」
学園長は携帯を懐にしまった。
「………何があっても、晶は守り抜く……アイザック……貴方が何を考えていたとしても……」
学園長は静かに部屋から出て行った。
「………そうか……富山元帥の娘が、クイーンオブハートだったか……」
「はい………富山元帥は、何やら策がおありの様でしたが……我々も、護衛を派遣すべきでは無いかと思われますが………」
勇翔達は、師紀邸に戻って来た。メタトロンと勇翔は、戻って来てすぐに緋凰や拾蔵、公王に学園であった事を伝えた。
「………だが、その情報はデュラハンからもたらされたのだろう?それを鵜呑みにしても良いとは思えんが……」
「ふむ……じゃが、万が一真実だとしたら、確かに手遅れになるのは手痛いのぉ………」
「……ならば、我々は情報工作をした方が有効なのでは?」
「情報工作……?」
「メタトロン、本国に帰還し、元老院にこの事を伝えてくれ。アルバーヌ卿にも指示を仰いで、各組織への情報工作を徹底してくれ」
「了解しました。では、私はこれで……」
「あぁ、ご苦労だったね。ゆっくり休んでくれ」
「はっ……失礼します」
メタトロンは静かに立ち去った。勇翔も、障子を閉めて立ち去った。
「………存外、身近におったのぉ……じゃが、かえって危険かも知れん……」
「危険……?」
「富山元帥は、恐らく暫くは学園を離れられまい。そうなると、戦力が日本に縛られることになってしまう………」