「……晶が、クイーンオブハート……そんな話、すぐに信じられる筈が無いだろう……」


「だが、もしそれが真実だとしたら………何かあってからでは、手遅れになるかも知れない……」


「……晶ちゃん………」


「……暫くは、真藤に秘密裏に警護させよう。何かあってからでは、遅いからね……」


「…そうですね……何かあったら、僕もすぐに駆け付けます」



「……あぁ、頼むよ勇翔君……メタトロンさん、でしたね?」



「えぇ」


「……フォーラム公国でも、クイーンオブハートの捜索は行っているのですか?」


「えぇ……あまり大々的にはされていませんが、世界各地に騎士が派遣されています。それと同時に、ハートの欠片の蒐集も行っています。まだ、四つほどしか集めていませんが………」


「それでも、三分の一集めているということか……では、大元帥にハートの欠片の捜索隊の派遣を打診しておきます」


「おぉ、それはありがたい。お願いします」

「娘に関わっているとなれば、助力しない訳には行きませんからね」



「………そうですね………では、今日はこれで失礼します。貴方と出会えて、光栄でした」


メタトロンは立ち上がって右手を学園長に向けて差し出した。学園長はしっかりと力を込めて、その右手を握り返した。



「私も、フォーラム公国親衛騎士団筆頭騎士殿と出会えて、嬉しいですよ。共に、平和の為に戦いましょう」


メタトロンと勇翔は学園長室から出て行った。崇史は窓際に立って校庭を見下ろした。校庭の隅には、未だに勇翔が作り上げた氷柱がそびえたっている。


「…彼は、どこまで強くなるというんだ……斗耶さん…貴方は、どこまで知っていたんですか…」