「……規模も分からず、目的も謎……これてば迂闊に捜査する分けにもいかないか……さて、どうしたものか……」
その時、ドアを誰かがノックした。
「学園長、真藤ですが……」
「どうかしたのかい?」
「お客様が参られておりますが………」
「客…?誰だい?」
「……自分は、デュラハンの頭目だと言っておりますが………」
「何……!?」
「デュラハンの頭目だと……!?」
「学園長…取り敢えず、お通しした方が……」
「……そうだね…真藤、ここに案内してくれ」
「分かりました」
真藤はすぐにまた戻って来てドアをノックした。
「真藤かい?」
「はい、学園長。お連れ致しました」
「入ってくれ」
「失礼します」
真藤がドアを開けると、真藤ともう一人……オールバックにした深茶色の髪にレインコートを着た男がいた。
「……貴方が、デュラハンの頭目だと…?」
「いかにも……俺の名はソル・アルファディオ。デュラハン頭目を務めている」
「……取り敢えず、こちらへ。真藤は仕事に戻って良いよ」
「では…失礼しました」
真藤はドアを閉めて去っていった。ソルと名乗った男は学園長と向かい合う椅子に腰掛けた。腰に差した剣は脇に立て掛けている。
「……ソル・アルファディオ……」
「メタトロンさん、ご存じなんですか?」
「……かつて、フォーラム公国の公国騎士団の歴代筆頭騎士のリストの中に、その名があった………まさか、貴公がそうなのか?」
ソルは目を深く閉じて感慨深そうにしていたが、やがて目を開いてゆっくりと答えた。
「……確かに、俺は公国騎士団の筆頭騎士を、先代公王の頃に務めていた」