その時、部屋にさっきの青年が息を切らしながら駆け込んで来た。
「お二人共、今すぐ国連本部にお戻り下さい!悪魔の大群が、本部に襲撃して来たとの報告が……!!」
「……何……?」
「本部が……ッ、緋凰様、戻りましょう!」
だがレオンがいくら声をかけても緋凰は動かない。
「……いや、襲撃されたのならば非常事態宣言がなされたはずだ。そうなると、転送装置は起動できないはずだ……」
「そんな……!?」
「慌てるな、レオン。本部には元帥達もいるし、戦力で遅れを取ることはあるまい。だが、急いだ方が良いな……レオン」
「はっ!」
「お前は先に一人で本部に戻れ」
「な、どうしてですか!?」
「そう、いきり立つな。お前一人なら、蒼ざめし馬で向かえるだろう。だが二人ではそれも無理だ。となると、お前が一人で行くしかない」
「………………ッ……分かりました……」
レオンは最初こそ握った拳を震わせていたが、最後には諦めたのか拳を開いた。
「私は先に本部に戻ります。緋凰様はいかがなさいますか?」
「私も後から行く。それと、これを頼む」
緋凰はレオンに凍牙王を渡した。
「それを勇翔に渡してくれ。」
「分かりました」
レオンは凍牙王を片手に部屋を出て行った。
「……貴方は行かんのか?」
「ん、あぁ……ちょっと、な。他に用向きがあるのだ。合成神器の研究は継続してくれ。必要なら資金も出す」
「そこまでして貰えるからには、最後までやらないとな」