「……これは………」



紅い箱を開けると、中には蒼いこぶし大の結晶が納められていた。レオンはそれを手に取った。


「……蒼ざめし馬……ですか……」



「広域破壊型神器『蒼ざめし馬』。余りの凶悪さに封印された神器………その封印を解放した。会話も出来る様にしてある」


「…会話……ですか……」



レオンが訝しげに結晶を見ていると、不意に結晶が淡い光を放った。

『……再びまみえることになるとはな、レオン・イェーガー……神託受けし預言の騎士よ……』


「………蒼ざめし馬……」


それは結晶……蒼ざめし馬が発した声だった。

『我を使い、多くの命を奪ったその手腕……我は汝を今でも高く評価している………今宵は何用で我を呼び出した?再び、数多の戦場に死を振り撒くか?』


「………俺、は……」


レオンは結晶を見つめたまま動かなくなってしまった。だが暫くしてゆっくりと顔を上げた。


「……今度こそ、制してみせます……」



「…お前の好きにするといい。博士、他にはありますか?」


「あぁ、あるぞ。むしろこっちが本来渡すつもりだったものだ」


高城博士はそう言いながら長い布に包まれた棒状の物を緋凰に渡した。


「……拝見しよう…」


緋凰はゆっくりと布を外した。中には白鞘拵えの太刀が包まれていた。緋凰は慎重に刀身を引き抜いた。



「………見事だ……」


「これは………」



二人は見事な太刀に感嘆の声を漏らした。
その太刀は、刀身はうっすらと蒼く発光し、刀身からは微かに冷気が流れている。緋凰の服の袖も僅かに凍り付いているのが分かる程だ。