「そうだ……世界の均衡を守る。その為ならば、命を懸ける……それが、我々の存在意義だ」



緋凰はコートを翻して歩き出した。




レオンもその後に続く。


「緋凰様、どちらへ?」


「今は出来ることをやるだけだ。その為には戦力の増強は急務となろう……勇翔君の修行を急がなくてはならない……」


「……了解しました」



二人は並んで勇翔がいるトレーニングルームに向かった。









「……それじゃあ、お二人が戻るまで私が相手をさせて戴きます。宜しいですね?」



「はい。お願いします」



トレーニングルームに戻った勇翔は、緋凰とレオンが戻るまでアルバーヌに訓練をつけて貰うことにした。



アルバーヌは腰に提げた剣を抜いた。


だがその剣は、普通に支給されている剣だった。





「……黄金の剣じゃないんですね……」



「えぇ。あれを使ってしまうと、訓練になりませんからね。それでは、私は空での戦い方をお教えする様に言われていますが……正直なところ、貴方ならもうわざわざ訓練しなくとも大丈夫だと思いますので、基本的なことは簡単に済ませて、実戦的な訓練をしたいと思いますが、何か意見はありますか?」





「いえ、アルバーヌ元帥のご指示に従いますよ」



「そうですか。では、軽く浮いてみて下さい。天井にぶつからない程度で構いませんよ」


「はい」


勇翔は言われた通りに、天井より少し下辺りまで浮かんで見せた。

「やはり今更お教えする必要はありませんね。では、外に出ましょうか」


「え?」


言うが早いか、アルバーヌは壁のスイッチを操作して窓を開けた。