「ヤック―ン!!」

「ぐはぁっ!?」

八洲は弥佳の全身タックルを食らって後ろに吹き飛ばされた。

「ッつ…!?おい、弥佳!飛び付くなとあれ程…!?」

怒鳴りかけた八洲は怒鳴るのを止めた。弥佳が泣いているのが分かったからだ。

「…はぁ…悪かったな、弥佳…」

「う…ヒック…ッ…」

弥佳は泣きやまない。
「…悪かったって…」

八洲が頭を撫でると弥佳はようやく泣きやんだ。

「…ふぅ…では、任務の引き継ぎをしましょう。」

「おぉ、そうじゃな。手筈はどうなっておる、レオン?」

「数日中に、私の部下が受領に参ります。宝珠はその部下とその隊に預けます。それから本部に護送し、私はそのまま日本に止まります。」

「そうか。では今すぐにという訳にはいかんな。」

「はい…ですから、出来れば八洲様にはここに止まって頂きたいのですが…」

レオンは八洲に向いた。

「…つまり、帰るのはもう少し先になるということか…」

「…不可能ならば、仕方ありませんが…」

「…まぁ、仕方無いな。誰かを弥佳の迎えによこしたいのですが、お電話をお借りしても宜しいですか?」

「ん、なら儂の部下に送らせるが…」

「…では、お願いします。弥佳…」

「…うん…」

弥佳は黒服の男四人に囲まれて部屋を出て行った。

「…さて、ここからは上級士官のみで頼みたいのじゃが…若者は退席して貰えんかのぉ…?」

「…分かりました。」

勇翔達は部屋を出て行った。残ったのは緋凰と拾蔵とレオンと悠里だけだ。

「…何とか宝珠は確保出来たが、今回は敵が甘かったから助かった。だが、あれが仮面の男だったら…」

「…宝珠は奪われ、誰かが死んでいたでしょうね…」

そう言う悠里の顔色は沈んでいた。

「…しかし、これで敵が諦めたとは、到底思えませんが…」