「そうですか。では、私はこれで…」

八洲が剣を納めて立ち去ろうとした時、拾蔵はすぐに声をかけた。
「何を言っておる。お主も来るんじゃ。」

「…は…?」

「お主の仲間もおるじゃろ?それに、任務の引き継ぎに同席してもらわなくてはならんのでな。」

「…はぁ…」







「…では、拾蔵様はまだお戻りになりませんか…」

レオン達は師紀邸に戻って来た。しかし肝心の拾蔵が外出してから戻っていなかったのだ。

「そうねぇ…多分、もうすぐだと思うんだけど…」

「彰奈さん、戻ったぞ。」
レオン達のとこに拾蔵が戻った。

「ん、早いのぉ。流石は特務隊長じゃ。」

「拾蔵様!一体どこに…!?」

レオンは途中で言葉を切って片膝を着いて敬服の姿勢をとった。

「レオンさん…?」

「頭を下げろ、勇翔!この方は…」

「それには及ばん。」

レオンの言葉を遮って現われたのは、緋凰だった。

「緋凰様…やはり来て下さいましたか…」

「あぁ。丁度こちらへ来るところだったからな。ついでだ。」

「では、拾蔵様は…」

「儂は緋凰に着いて行っただけじゃよ。まぁ、途中で彼女を拾ったがのぉ。」

そう言いながら拾蔵は体を脇にずらした。そこを通る様に姿を現したのは…

「…お母さん…!?」

悠里だった。

「ごめんね、勇翔。本当は家でゆっくりしてるはずだったんだけど…嫌な気配を感じちゃって…」

「それで現場に向かう途中で合流したのじゃ。まぁ、八洲が負傷しておったからの。丁度良かったんじゃ。」

「そう言えば、八洲さんは…」

勇翔が尋ねるのと同時に八洲が遅れて入って来た。

「ここにいるぞ。」

その声を聞いた途端にそれまで全く元気が無かった弥佳がピンッと立って八洲に飛び付いた。