朱い魔方陣から現われたのは、火の粉を纏った巨大な朱い鳥だった。

「キュイイイイッ!」

朱雀は羽を広げて鳴いた。

「行くぞ、朱雀!」

拾蔵が朱雀に跨がって腰に差していた片手を抜いた。刀は抜かれた瞬間に水しぶきを飛ばした。

「はぁっ!」

拾蔵は刀を手に悪魔に突っ込んだ。ある悪魔は刀に斬られ、ある悪魔は朱雀の炎に焼かれて消えて行った。

「ほぅ…村雨か…本気の様だな、拾蔵。」

止まった拾蔵のとこに緋凰が来た。

「お主もな。いきなり護法童子を呼び出すとはの。」

それを聞いて緋凰が微かに笑った。

「…なんじゃ…?」

「いや…お前の話し方がな…随分年寄り臭くなったものだと思ってな。」

「…当たり前じゃろ。」
「ふぅ…昔の様に行こうじゃないか。」

その時、悪魔が二人に後ろから拳を振った。しかし拾蔵はそれを振り返りもせずに刀で斬り飛ばした。悪魔が苦痛に歪んだ叫び声を上げた。その悪魔に白夜が槍でとどめを差した。悪魔は光の粒子になって消えた。

「…そうでなくてはな…お前は。」

「…もう体が動かんのだかのぉ…」

そう言いつつも拾蔵は口の端が緩んでいる。すると緋凰が目線を下に下げた。

「…もういい様だな。」
その時二人を両脇から悪魔が挟み撃ちにしようとした。悪魔が拳を振り上げる。しかしその拳は両方同時に斬り飛ばされた。苦痛の叫び声を上げる悪魔が次の瞬間には真っ二つにされていた。

「ふむ…流石は悠里じゃ。回復魔法にかけては、まさしく天才じゃな。」

「あぁ。」

悪魔を斬ったのは悠里に回復された八洲だった。

「遅れて申し訳ありません。」

「いや…」

緋凰は言いながら振り返った。

「…さっきので最後だった様だな。」

「…そ、そうですか…」
拾蔵は刀を鞘に納めた。緋凰は護法童子を戻した。

「まぁ、とにかく終わったようじゃな。戻るとするかの。」