「…さて…これで心置きなく全力が出せるな…味方を巻き込むのは後味が悪いからな…さぁ、相手になってやろうじゃないか。」

すると敵が一斉に八洲に向かって来た。

「来い、スサノオ!」

八洲がスサノオを降霊させた。その姿はさっき洞窟の中で見せたのと同じだ。悪魔達と忍者が八洲に向かって切り掛かった。

「はあぁっ…」

八洲は体をひねって右手に力を溜めている。悪魔達と忍者が更に距離を縮めた。

「拳臥乱舞(けんがらんぶ)!!」

八洲はその掛け声と同時に体をひねって右手を前に突き出した。すると右手から無数の紅い炎が吹き上がって悪魔達と忍者を吹き飛ばした。

「ギャアアッ…!?」

悪魔達が煙の様に消えていく。忍者は全身に火傷を負いながら地面に倒れたまま動かない。

「どうした、この程度か!」

八洲の一喝に触発されて残りの全ての敵が突撃して来る。

「っと、本気の様だな…ならば!」

八洲は腰をかがめて右手を左の腰に添えた。その姿はまるで居合いの様だ。

「全てを砕きし破砕の剣よ、我が身に降りし災いを、破砕の力で打ち払え…」

その間も敵が更に距離を縮めた。限界まで近付いたその時、八洲は右手を振り抜いた。

「天羽ヶ斬(あめのはばきり)!!」

抜き放った右手から凄まじい衝撃波が走り、近くの敵を全て斬り飛ばした。その右手には、少し反った巨大な黄金の刀身の真ん中に大中小の三つの紅い玉がはめ込まれた巨大な剣が握られている。その刃先は釣針の様に鋭く反り返っている。八洲は剣を肩に担いで敵を睨み付けた。

「…さて、と…この分なら、殲滅に三十分とかからんな…」

その時、上空から数十体の巨大な悪魔が現われた。その大きさは優に数百kmはあるだろうか。

「…おいおい…こんなものまで持ち出すとは…冗談にしては、酷く笑えない冗談じゃないか…」

八洲は剣を両手でしっかりと握って敵に向かい合った。