二人は黒い煙に包まれた。煙が消えるとそこに二人の姿は無かった。四人は降霊を解いた。

「レオン殿…やはりあれは…」

「えぇ。間違い無いでしょう…厄介なことになりそうですね…」

「あぁ…とにかく、宝珠は確保した。一旦戻ろう。」

四人は来た道を戻って出口に向かった。

「…もうすぐ出口だ。」
八洲がそう言ったすぐ後に四人は外に出た。すると…

「…な…ッ…!?」

勇翔は言葉を失った。
「…やってくれるな…」
八洲が小さく呟いた。四人が外に出た瞬間目に飛び込んで来たのは、空一面を覆うかの様な悪魔の軍勢と、忍者のような格好をした人間が地面を埋め尽くしていたのだ。

「…堂絃か…侮っていたようだ…三人とも、行け。」

「そんな…!?八洲さん!?」

勇翔は八洲を止めようと手を伸ばした。しかしその伸ばした手は見えない壁に弾かれた。「な…ッ…!?」

「お前達は、宝珠を持って本部に帰還しろ。レオン殿なら心配無いでしょう。」

「ですが…それでは貴方が…」

そういうレオンに八洲は小さく笑って返した。

「…これは私見ですが…貴方の能力は集団戦には向かない様だ…さっき能力を使わなかったのが何よりの証拠だ。だから、ここは私が残ります。」

「…分かりました。」

「レオンさん!?」

勇翔はレオンに信じられないといった表情を向けた。

「確かにタナトスの能力は集団戦には向かない…ここは八洲さんに任せるしかない。大丈夫だ。八洲さん、一時間もすれば増援が来ます。それまでは、持ち堪えて貰うことになりますが…」

「構わんよ。」

「…失礼します。」

「!?レオンさん…ッ…!?」

勇翔の声は最後まで八洲は聞け無かった。八洲がどこかに転送したのだ。そこには八洲だけが残った。