「あ、うん。大丈夫。ごめんね、大きな声出して。」

「ううん。彰奈さんに、朝ご飯ができたからユウ君を呼んで来てって言われて…」

「あ、うん。今行くよ。」

勇翔は着ている服を脱いで持って来ていた服に着替えた。着ていた服は布団と一緒にキレイに畳んで置いておいた。

「じゃあ、ケルンも行こう。」

「そうね。」

ケルンは勇翔の頭に飛び乗った。

「わっ、とと…」

「さぁ、行きましょ。」
ケルンが尻尾で勇翔の頭をペシペシと叩く。出てきた勇翔の頭を見て晶が少しがっかりした表情を浮かべたのは言うまでも無い。







「…お、来たな。」

「遅れてすいません…」
「まぁ、夏休みじゃからの。少しは遅くとも構わんじゃろう。さて、全員揃ったようじゃし、戴くとするかの。ケルンも、用意してあるからの。」

「あら、ありがと。」

ケルンは勇翔の頭から降りて拾蔵の足元に行った。

「それじゃぁ、いただきます。」

彰奈に続いて皆が挨拶をして自分の朝ご飯に箸を伸ばす。ケルンは拾蔵の側で同じ物を食べている。そんなケルンと拾蔵が勇翔は不思議な光景を見ている様だった。

「何かな、勇翔君?」

その視線に気付いた拾蔵が言った。

「あ、すいません…拾蔵様はケルンのことご存じなんですか?」

「知っているもなにも、ケルンとパラケルススは戦友じゃからな。儂らは同じ時期に入隊した同期じゃった。」
「そうなんですか?」

「あれはまだ紫閃大隊の発足する前じゃったからの。今の若者が知っているはずも無いのぉ…どれ、いくらか話してやろうかの…」

「お祖父さま、今はお食事中ですよ?」

「おぉ、そうじゃな。これでは彰奈さんに失礼かの。後で儂の部屋に来なさい。話をしてやろう。」