「何…!?」

そのレーザーは束になってユリスに襲いかかる。ユリスは懸命にそれをかわした。

「前にはシールド、後ろにはレーザー…何という能力だ…」

ユリスはアトランティスから距離を離した。するとレーザーの攻撃が止んだ。

「どうやら範囲内に入ったものは全てあのレーザーに防がれる様だな。しかし今の戦力では…」

その時グレンを狙っていたアトランティスが不意に憲蔵に狙いを変えた。

「!?しまっ…!?」

至近距離にいた憲蔵は避けるのも防ぐのも間に合わない。

「!憲蔵!?」

ユリスが向かおうとしたがそうするとアトランティスの背後を通らなければならない。

「く…!?」

憲蔵は身構えた。アトランティスの剣が迫る。

ギィィィィィ…ン!!
憲蔵が身構えたその時、何かが剣を受け止めた。

「これは…!?」

それは黒い髪に黒い羽衣を纏う子供だった。子供は手にした槍で剣を受け止めている。

「護法童子、黒天…!?なぜここに…!?」

するとその子供が答えた。

「オサガリクダサイ、ケンゾウサマ。」

その時、アトランティスに背後から巨大な剣が飛んで来た。アトランティスはレーザーで撃ち落とそうとしたがレーザーは剣の速度に追い付けなかった。アトランティスは剣に胸を貫かれて動かなくなった。

「あの剣は…降魔の三鈷剣(さんこけん)…では、まさか…!?」

その時憲蔵に誰かが声をかけた。

「何をやっておるのだ、憲蔵よ。雷帝ともあろう者が、情けないぞ。」

その男は短く切られた黒い髪とヒゲに元帥が着るロングコートの袖を広げて羽織りの様にしたものを着ていた。
「霊帝、緋凰久尚(ひおうひさたか)様…!?」
「全く…さぁ、目的は達したのだろう?帰還するぞ。話はそれからしてやる。あれの回収も第五師団が引き受ける。」

「了解しました。」

四人はアルバーヌを助けて本部に帰還した。その頃はもう日は地平線の彼方に沈んでいた。