五日め

えみから連絡はなし。
居なくなってから
携帯が光ったような、
鳴ったような気がして
安眠できずにいた

私は携帯を手にもち
朝から用意して
専門学校に向かった

゙えみから連絡は必ず
来る"
私はそう信じてないと
普通には生活できなか
った

専門学校について
人にメイクアップする
大好きな実技体験を
していても
携帯が気になって
集中できずにいた

「何かあった?」
吉塚先生が私がした
メイクを見て聞いてきた
「どうしてわかるんで
すか?」
「前見せてくれたメイク
は素晴らしかったわ、
けれど今日のメイクは
かなり適当ね。
下地の塗り方からマスカラのダマ取り…全てを
疎かにしてる」
「すみません…」
「何かあったのかもしれ
ないけど、プロは仕事
の時は私事を持ちこま
ない。メイクを受ける
お客さんに対して失礼」
「はい…」


私を気に入ってもらって
くれた吉塚先生を
怒らせてしまった
それと同時にえみにも
怒られた気がした
私はモデルさんに
頼み込んでやり直し
させてもらった

骨格からモデルさんに
合う色を割り出して
私は自分が出せる
精一杯の技術を出した

吉塚先生はそれを見て
やっと微笑んでくれた

「あなたは才野がや
っぱり有るわ。
うちにいらっしゃい、
びしばし鍛えてあげる」
「ありがとうござい
ました、いまさっきは
すいませんでした」
「メイクしてると
きはお客さんの事だけ
考える、それを覚えて
帰ってくれれば今日は
許すわ、気をつけて帰
りなさいね」
吉塚先生はそういって
他の実習生の所へ行った


私は専門学校を出て
携帯を開いた

えみから連絡なし。


6時から、まいととし
ろうと渋谷で会う約束を
している

私は足早に駅へ向かった