それを必死で止めて。


冷静を装って、答える。


「ああ」


麗はそのまま、神の姿となる。


宙に浮いて、天へと昇っていこうとする。


「…麗!」


思わず、呼び止めてしまった。


麗がこっちを振り返る。


「ええと…その…」


何を言うつもりだったのだろう。


俺が、麗に言えることなど…ないはずなのに。


「えっと、なんだ。…偶には、遊びに来いよ。付き合ってやるから」


こんな言葉しか出てこなかった。


麗は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに微笑んで、


「はい。わたくしも、会いたいです」


とだけ言い残して。


今度こそ、天へと昇っていった。


…なあ、麗。


お前は、俺のこの気持ちに…気づいているのだろうか。


俺ですら、自覚したくない、この気持ちに。


気づいていないなら、それがいい。


気づいているのなら……俺が自覚してしまったときに、伝えるさ。


必ず、な…。