自分で自分が分からない。


「…土方様…」


「あ?速すぎたか?」


言いながら、歩く速さを遅くする。


「いえ、そうではなくて。…よろしかったのですか?わたくしと恋仲だなんて…」


…そんなことか。


「いいも何も…ただの口実だろ。悪かったな、俺の恋仲ってことにしちまって」


俺は、何が言いたいのだろう。


何故こんなにも…ぶっきらぼうに麗と話しているのだろう。


俺は…何を望んでいるのだろう。


「…土方様にも、いつかこんな風に手を繋いで歩く人ができるのでしょうね」


「………」


俺は何も答えられなかった。


俺が本当にこうしたいと思う人は、誰なんだ?


俺がそばにいてほしいと思う人は、誰なんだ?


俺が、本気で愛しているのは…


「…んなこと、言えるかよ…」


「え?」


「なんでもねぇよ」


ふと、思ったことがある。


麗があいつらの母親として、この世界に留まれたらと。


麗とまた、逢えたらいいと。


…そんなことは、叶わない。