俺は遊女たちを睨みつけるが…奴らは麗を睨んでいた。


「あんたはん、土方はんのなんやの?」


「わたくしは…」


麗は困った顔をしている。


そりゃそうだ。


知りもしない女たちに睨まれて、俺とも関係を聞かれてもなぁ。


「麗は関係ない。俺に用があるんだろ」


俺は麗を背後に押しやる。


「…その方とは、どういうご関係どすか」


…まだ聞くか。


いい加減こっちもめんどくなってきたぞ。


「…恋仲だよ。いいか、こいつを傷つけるような真似したら、ただじゃすまさねぇからな」


俺は睨みをきかせて、そう吐き捨てた。


「行くぞ、麗」


まだ呆然としている遊女たちを置いて、麗の手を引っ張って歩き出した。


「よかったのですか?」


「いいんだよ。あんなやつら、俺のことを何一つ分かっちゃいねえんだから」


女なんて、そんなもんだ。


顔がいい。


それだけの理由でうじゃうじゃ寄ってくる。


誰も、俺自身を見ようとしない。


前はそれでよかった。


けど、今は…俺自身を見てほしいと、そう思ってしまう。


この気持ちも、すべて。


この感情からくるものなのだろうか…。