それでも、麗が言うのなら間違いはないだろう。


…あまり信じられないことだが。


「…お前みてぇな女がいたらいいのにな…」


「え?」


しまった…つい本音が出ちまった。


「あいや…その、なんていうんだ…」


俺は必死に言い訳を考えるが、何も思いつかない。


どうしたもんか…。


俺が考え込んでいると、麗がくすっと笑った。


「おもしろいことをおっしゃるんですね」


おもしろいこと…?


俺が言ったことはそんなにおもしろいか?


「…俺は…ただ理解してくれるやつがいれば、それでいいのかもしれない…」


その理想に、麗が近かっただけだ。


うん、そうに決まってる。


だいたい、麗は神だろうが。


こんなこと…あるはずがない。


…でも。


「お前が母親だったら、あいつらは喜ぶだろうな」


「何を言っているんですか。わたくしはあの子たちの母親ですよ」


「…そうだったな」


そういう意味の母親じゃなくて、そばにいてやれる。


そういう意味の、母親。