「失礼し……すんません!!!!」

1人の組員がドアを開けたが、叫んでからまた閉めた。

それに赤くなった互いの顔を見合わせ、維十と私はゆっくりと離れた。


なんだか、残念な気がして……

そんな訳は無いと自分に念じ、少しの言葉を交わして維十の部屋を出た。



そのまま部屋には向かわず、中庭に出た。

土と下駄が擦れる音は、夜の澄んだ空気を振動させて響き渡った。