ダイヤの指輪はいつの間にか維十の手の中に入っていて、私の手には空の箱があった。


「俺、不安なんだ。…霞澄は俺よりも凄い奴で、そんな人が俺みたいなのの奥さんでいいのか?って…」

「…維十……」


「ははっ…情けないよな…」


眉尻が下がり、悲しい維十の瞳に私が映るのがわかった。



「今更…今更何を言っている…?私がいるから…私がいるから、海堂をもっと強くしよう。それには、維十が必要なんだ。一緒に、頑張ろう…」





気づいた時には、私の腕は維十の首に巻きつき、維十の腕は私を包んでいた。



「霞澄、返事…」


維十の真剣な瞳を見つめ、頷いた。

「まだ…私は、まだ、維十の事が好きなのかはわからないが…一緒に居たいと思う。」



柔らかく笑い、私の頭を優しく撫でた維十は、また私を抱き締めた。