彼女は部屋に戻っても 一言も話さなかった

着替える時も シャワーを浴びる時も ベッドに横になる時も
そして あのブーケの花を無造作にコップに挿した時でさえ

私も何をどう話したらいいのかわからなかった
だから言葉もかけられなかった 
ただ彼女の様子を遠巻きで見ていた

私はベッドに入っても中々寝付かれずにいた

彼女も何度となく体の向きを変えていた様子がわかる

彼女はまだ寝ていないと感じた  

だから

「目が覚めちゃって… 何か飲物を買ってくるね」と声をかけた
「一緒に行こうか」彼女か言った
「ううん ひとりで大丈夫」

「さっきは…」彼女が言いかけた
「何?」
「ありがとうね」

彼女がジェスチャーで私が彼女をかばった真似をした