撮影は先輩だけで続けられた 私も部屋でひとりいるのも気になって
大して役には立たないだろうけれど邪魔にならない程度に参加をした

いつもより近い距離から彼が見えた 彼の新しい発見に気持ちが戸惑った

髪をかき上げるしぐさやカメラをいじる大きい手や指先 
彼女を見る横顔

「疲れただろう もう少しで昼だから」と 左に口角を上げて笑った

「はい あ...いえ」私も笑顔を返す

手が届きそうな程 こんなにも近い距離に彼はいるのに 

私の想いは届かない