―――――……



家に帰るには、ひとつ、乗り越えなくてはならない事がある




それは…




「お嬢様、どうぞ」


「あ、ありがとう…」



そう…


平井さんだ



良い人だって事は分かってるけど



やっぱり怖い




「お嬢様、そんなに警戒しなさらなくても、何も致しませんからご安心下さい」


「あはは……ごめんなさい…」


「大丈夫ですよ。男嫌いなのはしょうがないのですから。

お嬢様にとって、海都様は唯一、心をお開きになられた特別な方ですからね」




唯一、心を開いた人…



確かに…




「もう少しでお着きになりますから、ご辛抱を」