そのとき、俺を見つけてくれたのはあいつだった。

今でも覚えてる。

あの時のこと。



---1人でいた。

本当は、誰かに探してほしい。

見つけてほしい。

そう思ってた。

ただ寂しかっただけなんだ。

辛くて逃げ出したかっただけなんだ。

「夕飛!」

誰かの呼ぶ声。

あ。

あいつだ。

俺より1つ上の橘美優(Tachibana Miyu)。

「なんでお前がここにいるんだよ。」

俺は顔を背けた。

あいつは俺の顔のほうへ動いた。

「何考えてるの!」

あいつはそう言って、涙を流してた。

え?

「とにかく無事でよかった。」

あいつはそう言った。