『俺の女に触んな!』

振り向いたら、雨に濡れた和真が立ってた。
車に私を連れ込もうとした男は、舌打ちしてからそそくさと走り去った。


『帰んで。』

今度は和真が私の手首を掴んだ。
だけど、その手を反射的に振りほどいてた…

「昨日、好きって言われた…つき合おうって。」

和ちゃんの予想は当たってる。
仕事を手伝ってる最中、同僚に告白された…


『で、なんて答えたん?』

「彼がいます、
って…断った。」

『それで、ええやん。』

和真が私の濡れた髪を撫でた。


「和ちゃんが彼氏です。
って、みんなに言いたいよ…」

一瞬のうちに胸に引き寄せられて、埋めた頬。
私もずぶ濡れだけど、和ちゃんもずぶ濡れだった。