気づいたら…
打ちつける雨がやんだ。

と思ったのは、後ろから男が私に傘を差したから…
雨の音で、男が車を降りたのも、追いかけて来たのも気づかなかった。


追いかけて来て欲しいのは、この人じゃない…

思わず涙が溢れ出した。

『タオルあるから、車に乗れば。』
そう言って、私の手首を掴んだ。

「いやっ!」
振りほどこうとしたけど、力強くて離れない…